自習者のためのバッハ・無伴奏チェロ組曲第1 番 実践ガイド　 役立つ練習方法と 無料オンライン動画付き マーティン・スタンツェライト著 ヨハン・セバスティアン・バッハ（1685-1750）による無伴奏チェロ組曲は、歴史上でチェロを伴奏楽器という影の⽴場から舞台の中⼼に引き出しスポットライトを当てた最初期の作品群の⼀つです。この曲をマスターするために、私たちは組曲の第1 番に段階的に取り組むための実践的なガイドをお届けします。単に⼸使いや運指だけでなく（これらは個⼈差が⼤きいため）、この⾳楽への理解を深め、⾃分⾃⾝の解釈を育む⽅法を⽰したいと考えています。 残念ながら、バッハのオリジナルの⾃筆譜は現存していません。バッハの妻アンナ・マグダレーナや弟⼦のヨハン・ペーター・ケルナーによって書かれた写譜に頼らざるを得ませんが、これらの写譜は多くの点で異なっているため、バッハの意図を完全に知ることはできません。したがって、バッハの⾳楽を理にかなった形で演奏する責任を果たす必要があります。 バロック⾳楽を正しく演奏する⽅法についての書籍やエッセイ、メソッドは数多く存在します。それらは重要である⼀⽅、演奏者としてはしばしば誰かにジャッジされているような不安を感じることがあります。この本のメソッドでは「正しい」「間違い」を論じるのではなく、⾃分で判断できるツールを提供したいと考えています。 まずは和声を感じ取ることが重要です。ト⻑調のさまざまなパターンや速度でウォームアップをすることは有益です。さらに、組曲の重要な箇所を練習するための技術的な練習やエチュードもあります。私たちは⼀度に⼀つの楽章を取り上げていきます。本書の最後に指使いを書いていない楽譜を収録してありますので、必要に応じて⾃分⾃⾝の運指を使ってください。 では、始めましょうか？